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Ettore Sottsass “Bridge”

1988年にアメリカKnoll社から発表された、イタリアの建築家、インダストリアルデザイナー、Ettore Sottosas(エットレ・ソットサス)による椅子、“Bridge”です。フレームはブナ材、背と座はグレーのファブリック張り。
他にも幾つかのプロダクトを同時期にKnoll社から発表していますが、こちらはソットサスには珍しい、木材の質感を活かしたプロダクトです。1950年代から数多くの著名デザイナーと組んで多くの名作を生み出してきたKnoll社とのコラボレーションという事で、素材的に少しチャレンジしたデザインになったのでしょうか。
80年代のソットサスのデザインにしては少しおとなしめの印象ですが、直線的な背と座のフレーム、テーパーしていない脚のらいん、背と後ろ脚の微妙な角度が80年代っぽいイメージです。座面下の四角く抜かれた横材の装飾性も、やはりポストモダン期らしいディテールと言えると思います。
背裏にもファブリックが張られています。木材の質感をできるだけ抑えようという意図でしょうか。いいバランスになっています。
よく見ると背面、座面ともにフレームから木材で浮かせて、生地が張ってあることがわかります。板に直接クッションでは少し野暮な印象になってしまいますが、それをきちんと回避しているあたりはさすがですね。
脚を固定するための木栓も視覚的なアクセントに。
背もたれ上部の接合部に若干のスキが生じており、
木部には他にも小キズなどが見られます。
ファブリックにも薄いスレ、小さなダメージが見られますが、全体的にはきれいな状態。ぐらつきなどもなく、しっかりしています。
見れば見るほど絶妙なバランス感覚を持つ椅子だと感じさせてくれます。エキセントリックと思われがちなソットサスですが、Orivettiのタイプライター“Valentine”やこの椅子を見ると、やはりデザイナーとしての基礎をきちんと踏まえた上での表現だという事が理解できるような気がします。
近年再評価が進むポストモダン・デザイン。個性が強く、インテリアに取り入れるのが難しいものが多いのですが、やはり木製だとぐっとハードルが下がりますね。貴重な80年代の椅子として、コレクションにいかがでしょうか。

Ettore Sottsass “Bridge”

サイズ   幅498、奥行き565、高さ823、座面高さ445
価格   売約済 ありがとうございました。