世界のモダンデザインと民芸 日本人の買い物の軌跡
Modern design and Folk art of the world.
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オーク材 ウィンザーチェア
カナダ、The Canadian Windsor Chairmaking Company製のウィンザーチェアです。70〜80年代の物でしょう。笠木とアーム、スピンドルはオーク材、脚部にはビーチ材、座面はメープル材のような柔らかい印象の木目の材が使用されています。「ボウバック」(弓型の背もたれ)と呼ばれる英国の伝統的なデザインをベースにしていますが、細身で華奢なシルエットにリデザインされ、軽快な印象に。メーカーについての詳細は不明ですが、笠木はブナに比べて硬いオークの無垢材をきれいに曲げて作られており、高い技術を持った工房であったことが伺えます。3枚の無垢板を繋いで削り出された座面は人体に沿うように削り込まれ、見た目以上に快適な座り心地。挽き物による装飾が施された脚が繊細で優雅な雰囲気です。肘掛のカットも特徴的。座面や脚貫に施された彫り込みのラインは、アメリカのヴィンテージヴィンザーチェアにも見られます。北米のウィンザーチェアに特徴的なディテールと言えるかもしれません。スピンドルは笠木を貫通して楔で固定されており、ビジュアル的な個性にもなっています。座面裏に工房の焼印があります。アーム先の若干の色褪せ、笠木付け根の小さな補修跡、座面に細かいシミやスレが見られ、脚先にも少し染みが見られますが、大きなダメージなく緩みやぐらつきもありません。3つの異なる木材が見せるそれぞれの表情も魅力的。どの角度も美しい姿を見せてくれる椅子です。クラシカルなスタイルですが、細身のラインと明るい色味ですのでナチュラルモダンな空間にもすんなり溶け込んでくれそう。