世界のモダンデザインと民芸 日本人の買い物の軌跡
Modern design and Folk art of the world.
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Cassina “Revers”
イタリアCassina社から1993年に発表された、Andrea Branzi(アンドレア・ブランジ)によるデザインの“Revers”(リバース)チェアです。ビーチ材のプライウッドによるリボン状のラインがとても優美なデザイン。脚部はアルミダイキャスト使用で、軽量かつ丈夫な作りとなっています。 Andrea Branziは、60年代の“Archizoom”、80年代の“Memphis”など、それぞれの時代における先鋭的な建築、デザイン運動を主導した、イタリアンモダン・アートにおける最重要人物の一人です。1枚の成型合板やYの字の支えが生み出す形状は、椅子というよりも彫刻作品といった佇まい。ねじれたフレームは、背中に寄り添り、肘を自然と下ろせる角度になっています。座面もわずかな曲面となっています。鋳物による脚部の形状や色味も、クールなイメージ。繊細で複雑に見える形状ですが、構造までしっかりとデザインされており、耐久面での心配はなさそうです。こういった部分はさすがCassina社の製品といった印象。木部に少し塗装の傷みや小さな打ち込みがあります。表面は一度塗り替えられているようで、ややざらつきのある手触りとなっています。脚部にもやや塗装のキズが見られますが、大きなダメージはなく全体的にきれいな印象です。1脚だけでも空間に存在感を放つ、アンドレア・ブランジの名作プロダクトです。90年代のデザインも、少し時代を経て今また新鮮に目に映ります。