世界のモダンデザインと民芸 日本人の買い物の軌跡
Modern design and Folk art of the world.
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アメリカ マホガニー材 TVボード
マホガニー材が使用された、両開きのキャビネットです。1960年代のアメリカ製。シンプルな長方形のフォルムですが、真鍮製の取っ手と短い脚がポイントとなっています。扉内部は、配線用の穴が開けられており、TVボードやオーディオラックとして作られた家具と思われます。天板は板目の突き板がブックマッチで仕上げられており、ゆったりとした木目の表情が温かみのある雰囲気。取っ手のベースには無垢材が使用されており、微笑んでいるような真鍮のカットと削り出しのふっくらとした縁取りが特徴的です。黒い斑点は塗装によるもので虫喰いを模しており、アメリカの家具によく見られるエイジング仕上げの技法の一つ。扉の蝶番は上下のヒンジ式で、あしさ一般的な蝶番と比べて取付や調整は難しいですが、4隅に僅かに金物が見えるだけのシンプルですっきりしたルックスとなっています。マグネットキャッチは近年新しいものと交換されているようです。開口は直径30mmあり、コンセントプラグを通すことも可能。脚先には金属製プレートが取り付けられ床から少し浮いており、より軽快な印象となっています。内部に貼られた“HIGHEST AWARD CRAFTSMANSHIP AND DESIGN 1960”と記された金属製プレートから、高いデザインと技術が認定された製品であったことがわかります。フォントやデザイン、カラーリングも良い雰囲気で、60年代アメリカの空気感を感じさせます。両面とも扉裏面に焦げのような跡があり、他にも木部の細かい傷みがありますが、目立つダメージや構造的な問題はありません。TVボード以外にもローボードなどとして、収納やディプレイに活躍してくれそう。いかにもといった個性はありませんが、細部からはアメリカ家具的な雰囲気が漂います。アメリカンヴィンテージがお好きな方はもちろんですが、北欧モダンや日本のモダンヴィンテージと合わせてもすんなりと馴染んでくれると思います。