世界のモダンデザインと民芸 日本人の買い物の軌跡
Modern design and Folk art of the world.
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Hans J. Wegner “PP68” ビーチ材
Hans J. Wegnerによるデザインで、デンマークPP Mobler社にて製造されている“PP68”。フレームはビーチ材、座面はペーパーコード張りです。発表は1986年、デンマーク国有鉄道が運行するフェリーの客室用にデザインされた椅子がベースと言われています。多くの乗客が日々長時間さまざまな姿勢で腰掛けても壊れない強度があり、かつ機械加工による大量生産が可能、という条件を満たすため、それまで手がけてきた数多くの椅子のデザインの経験を踏まえて出した回答という意味で、ウェグナーの集大成的存在の椅子として認識されています。フレームはソープ仕上げ。清掃、簡単な研磨をしたのち、再仕上げウェグナーの椅子の中でも、フレームは太めで、しっかりとした印象。笠木部分は1本の材を曲げ加工により整形しており、短いアームや背中へのあたりに配慮したカットなど、美しさと強度、快適性を兼ね備えたフォルムとなっています。後ろ脚は笠木との接合部分が薄くカットされ、強度を保ちながらも洗練された印象を与えています。フレームに細かい傷が見られ、ペーパーコードに若干の色ムラが生じていますが、目立つダメージや構造的な問題はありません。PP Mobler社が製造するウェグナーの椅子の中で最も販売台数が多い、隠れたベストセラー。Yチェアのようなキャッチーさはありませんが、見るほどによくデザインされた椅子であることに気付かされるウェグナー晩年の名作です。
