世界のモダンデザインと民芸 日本人の買い物の軌跡
Modern design and Folk art of the world.
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Marie Laurencin エッチング作品
1833年にフランス・パリで生まれ、20世紀前半に活躍した画家、彫刻家、Marie Laurencin (マリー・ローランサン) のエッチング作品、“Le Chapeau sur les Yeux”です。オリジナルは1923年の制作で、こちらは1950年代に再版されたものとなります。銅版画で描かれたラインに、水彩絵の具で着彩されており、繊細かつ柔らかな雰囲気が漂います。タイトルの“Le Chapeau sur les Yeux”を直訳すると、“両目の上の帽子”。大きな羽がついた帽子をまぶかに被る女性の表情や仕草は少し憂鬱そうですが、目は力強く、唇は鮮やかなルージュで彩られ、強い意志のようなものも見て取れるように思えます。置き所のない右手もどこか寂しげですが、その姿は見る者の心を捉えます。ナチュラルなブナ材のフレームで額装されており、裏面には紐付き。額に細かい傷がありますが、マットや作品は良好な状態です。理解されることの難しい自身の性癖を美しい作品に消化し続けたローランサン。明るい表情や翳りのない感情だけが人間にとってリアルかつ必要なわけではない、という当たり前のことを感じさせてくれます。